日本は世界貿易システムの再編成に何を求めるのか?
グローバリゼーションのもたらすコストを支払い続け、デジタル封建制とも称される、新しいネット空間の直接支配に身をゆだねるのでしょうか?
日本はアメリカの同盟国として、核の傘に頼り、ドル体制を支え続けるしかない。
・・・しかし、ロシアや中国だけでなく、EUさえもシステムの安定化をトランプのアメリカに望まなくなりました。
本当は、異なる世界を望むだろう。
米中の和解、あるいは、妥協、少なくとも平和的調整をめぐる交渉のルールに合意することで始まる世界が、日本のめざす理想的な目標ではないか?
米中対立のコンセンサスに異を唱え、トランプの暴言、妄想、彼の道化師たちにふりまわされてはならない。
貿易戦争は米中合意に変わるだろう、変わるしかない、とトマス・フリードマンは考えます。
今、アメリカと中国は互いに敵視しています。
彼は何を観ているのか?
Video: Opinion | Tom Friedman Thinks We’re Getting China Dangerously WrongThe Times Opinion columnist discusses what he thinks Trump —www.nytimes.com
クライン、そして、フリードマンは、新型コロナウイルスの感染爆発で各国が互いを隔離してから、中国を敵視する者たちは現実をみなくなった、と考えます。
習近平政府は李克強の「製造2025」を推進しました。それは、「航空宇宙産業から新素材、自動運転車、ロボットに至るまで、21世紀のあらゆる産業において中国が優位に立つ」ことを確実にする計画です。
これによって「米中関係に化学変化が起きた」と、クラインは言いました。
今やアメリカ政治に、中国嫌悪のワシントン・コンセンサスができている。
「中国がアメリカに対して大規模な産業スパイ、さらには教育スパイ、そして政治スパイ活動を行ってきたという確信と認識が高まっている」
しかしフリードマンは、それを否定するより、事実に注目します。
たとえば、ガソリン車では追いつけないと知った中国が、スマートフォンの追い上げと、その優位から、電気自動車やバッテリーのサプライ・チェーンを築いた、と。
「つまり、彼らは携帯電話に車輪を付けたのです。これが重要なのは、Didi(滴滴出行)に乗ると、シームレスなデジタル体験ができるからです。」
確かに、それらは政府によるさまざまな支援や優遇策によって成功しました。
東アジアにおける中央政府の権威主義、教育の重視、スタートアップ企業は資本主義以上にきびしい競争と淘汰のなかを生きる。
政府が社会保障システムを整備しなかったために、国民は消費より貯蓄を優先した。金利や資本市場は抑圧され、政府の誘導する融資がスタートアップ企業と革新的投資を急速に拡大させた。
フォードとEV用のバッテリーは米中のエコシステム間で生き残った。
中国の技術革新、米中の技術移転とサプライ・チェーンの優位逆転は本物である。
「中国への正しいアプローチとは、両国間の相互連携を強化し、両国関係を危機的状況から引き戻す努力をすることだ。しかし、そういう見方は許されない。両国は敵意を強め、全面戦争の可能性に備えています。」
21世紀の人類が立ち向かわねばならない3つの生存を脅かす危機がある。
第1に、AIが組み込まれた世界。
「これから誕生する新しい種から最善のものを引き出し、最悪の事態を緩和するために、人類は協力する方法を見つけなければなりません。」
第2に、「人類が引き起こした」気候変動。
第3に、破綻国家ゾーンの拡大。
「これらすべてのストレスが相まって、多くの弱小国家が崩壊し、無秩序地帯が発生する」
これらに応じる力があるのは2つの超大国だけである。しかも、協力して行う場合に限られる。
トランプは、高関税で製造業を中国から取り戻す、という。
それは間違いだ。工業の生態系 eco-system を理解していない。
次の「繁栄するためのエコシステムは、ロボット、電池、人工知能、電気自動車、そして自動運転車になる」
それは圧倒的に中国に偏っている。
台湾でも、共産主義でもなく、エコシステムをみるべきだ。
トランプ政権の高官は、中国が「権威主義型のマルクス主義体制を世界に広める」と攻撃した。
彼らは真剣さを欠いている。
中国は多くのことを主張する。
中国人が信じるのはマルクス主義ではなく、(ハイテク起業家イーロン・マスクを称える)マスク主義だ。
中国の政治的抑圧体制、ハイテク監視国家、ウイグル族への弾圧、・・・
イデオロギーの違いや、覇権争いをどう見るか?
技術革新を支援し、同時に、反体制派を逮捕する。
ロシアのウクライナ侵略のあと、中国への依存を許容できないだろう。
米中対立から次の大戦争を準備するときだ・・・?
いいえ。中国を新しいスプートニクとして考えるほうがよい。
ファーウェイのキャンパスをみればわかる。
「わずか3年余りで建設されたこのキャンパスは、ディズニーのようなモノレールで結ばれ、手入れの行き届いた芝生のある104の個別に設計された建物で構成され、最大35,000人の科学者、エンジニア、その他の労働者のための研究室があり、100のカフェ、フィットネスセンター、そして中国と外国の最高の技術者を引き付けるために設計されたその他の特典を提供している。」
トランプ関税とその延期にどんな意味があるのか?
まず、1000%の関税を課せばよい。
「関税で稼いだ時間を使って、産業基盤をどうやって構築するのでしょうか?」
いいや、自動車工場はつぶれる。
政府はEVsをどうやって作るのか知らない。しかも、トランプは石炭採掘を奨励する。
大学や研究機関、DEIを攻撃しても、アメリカ経済は再生しない。
道化師たちのすることだ。
日本の貿易黒字にやったように、中国の最新工場をアメリカに誘致する必要がある。
相互の市場開放を条件として。
今や、これはAIの問題に至る。
なぜなら全ての製品にAIが入るから。
「条件はこうだ。ワイオミング州、モンタナ州、アイダホ州への通信回線の敷設を許可する。この3州で技術を販売できる。私たちは3年間あなた方を監視します。データをどのように扱うかを見守ります。うまくいけば、他の州もあなたに市場を開放します。」
AIを使った設計支援システムを使う中国の工場では、3か月かかった仕事が3時間で終わる。
ダーク・ファクトリー。全工程がAI制御のロボットによって24時間行われ、人間のエンジニアが入るときしか照明もつかない。
これに適応するには、米中が争うのではなく、協力するしかない。
そうでないと双方が破たんする。
・・・AI、気候、無秩序だ。
相互依存は選択ではない。
良い相互依存か、悪い相互依存か。それを選択できるだけだ。
「私たちと中国は協力し、そのための基盤を築くパートナーとなるべきだと主張することです。そうでなければ、私たちはAI版の核兵器のような狂った世界で競争を続け、おそらくその過程で破産してしまうでしょう。」
グローバルな不均衡の上に立つ世界貿易システム
中国は世界の財生産の3分の1を支配する。
これは持続不可能だ。
中国以外のすべての国は反対するだろう。
トランプのやり方は?
1,ゼレンスキー:部屋に入れて誰が支配者かを問う。
2,NAFTA:新しい合意を作り、翌日にはそれを破る。
トランプは、他国とディールできない。
債券市場の下落をみて後退した。
中国に関しては、ディール以下だ。
関税引き上げを唱えた後、株価が急落した。しかし、トランプのしたことはなにか?
サイバー戦争の最先端部門で、忠誠心を欠くという理由でトップを解任した。
中国の友人は、アメリカの文化大革命なのか、と尋ねる。
そうだ。しかも、結末はもっとひどい。
もし私が民主党候補者になるとすれば、まったく異なる計画を掲げるだろう、とフリードマンは書きました。
未来は、ツキディデスの罠か? あるいは、共存か?
中国バッシングは決して良い結果をもたらさない。
EUの自動車業界は中国のEV企業に技術移転と協力を求めています。
中国は内外の不均衡を是正するためにマクロ政策を調整するでしょう。
ASEANは地域経済統合を加速する協議を始めました。
日本がグリーンで最初のパットを打つ。
(参考資料)
● Ezra Klein, Why Trump Could Lose His Trade War With China, NYT April 15, 2025
● Thomas L. Friedman, I Have Never Been More Afraid for My Country’s Future, NYT April 15, 2025
● Thomas L. Friedman, How Trump’s Tariffs Play Right Into China’s Hands, NYT April 7, 2025
● Thomas L. Friedman, I Just Saw the Future. It Was Not in America, NYT April 2, 2025
● Thomas L. Friedman, What I’m Hearing in China This Week About Our Shared Future, NYT March 25, 2025
● Thomas L. Friedman, How Elon Musk and Taylor Swift Can Resolve U.S.-China Relations, NYT Dec. 17, 2024
● Nouriel Roubini, Toward a North American Economic Union, PS Mar 12, 2025
● Kana Inagaki in London, Edward White in Shanghai and Patricia Nilsson in Frankfurt, Europe helped teach China to make cars. Now the tables are turning, FT April 16, 2025