• 01/31/2026

静かな森と都市の明かり・・・ グローバルな政治経済秩序を考える

新しい平和と繁栄の条件。国境を超えて、市民にふさわしい秩序を築く。  グローバルな政治と経済のダイナミズム、国際政治経済学を学ぶ人のために。

イスラエル政府は、とうとうイランとの戦争にも踏み込みました。 

ハマスのテロ攻撃にあって大きな被害を受け、多くの人質を取られたネタニヤフ首相は、極右の参加した政権の下で、難民の権利を無視した、ガザへの軍事侵攻を始め、病院の破壊や子どもを多く含む民間人の殺害を拡大してきました。国際的な食糧支援物資を監視・抑制して、飢餓を軍事的に利用している、と非難されています。 

BBC「ガザの状況は「この世の地獄よりひどい」 赤十字国際委トップがBBCに語る」 

https://www.bbc.com/japanese/articles/czdy20e7njdo

「私たちは、今起きていることをこれ以上見過ごすことはできない。これは、法的にも倫理的にも人道的にも、あらゆる許容範囲を超えている。破壊の規模も、苦しみの深さも」 

ガザのハマスを一掃することにとどまらず、イスラエル政府が脅威とみなす敵対勢力を、中東地域全体から一掃することを明確に目標にし始めた、と思われます。ヒズボラの指導者暗殺やシリアの政権崩壊を好機とみなし、イランの核開発施設を破壊して、イランのイスラム共和国体制を崩壊させることも望ましい、と、アメリカのトランプ政権がこの戦争拡大を支援するよう説得しているようです。 

トランプがアメリカで権力の頂点に立つことが、その権力機構やネットワークを駆使して内外の秩序を破壊し始めたことと、ネタニヤフの難民地区への軍事力行使、戦争拡大との間には、何か並行する衝動が示されているように思います。 

軍事的な優位こそが正義であり、平和である。権力を握ったものが法と秩序を定める。正規の民主的な手続きで権力を握った以上は、その権力を手放すことはなく、戦争状態では、いかなる制限もない。 

ウラジーミル・プーチンや金正恩が、強権指導者として、同じように考え、行動することを、ネタニヤフも、トランプも、当然のこととみなすでしょう。 

彼らは裸の王様です。 経済の急成長や市場拡大、金融危機は、くりかえし政治革命に至りました。たとえ圧倒的な権力を手にいれても、地域の戦争に勝利しても、歴史的激動はまぬがれないのです。 

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私は、中国がロシアのウクライナ侵攻を支持したことに、失望しました。習近平の指導部がプーチンと一定の距離をおいていることを期待したからです。 

そして中国には、北朝鮮の核武装を阻止するチャンスがあっただろう、と今も思います。 

もし香港の民主派、黄之鋒/Joshua Wong らに対して、もっと違う対応が合意されていたら、中国は新しい国際秩序の指導国として、その後、これらの紛争に関与できたのではないか。私はそう思います。 

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NHK「映像の世紀 バタフライエフェクト: 香港 百年のカオス 借り物の場所、借り物の時間」を観ました。 

中華人民共和国の成立、大躍進の失敗と飢餓を逃れ、多くの難民が香港に流入した。「高層ビルをかすめるように降下する飛行機、魔窟と呼ばれた巨大スラム、数千の水上生活者の船。中国本土で戦乱や危機が起こる度、無数の人々が逃げ込み、香港のカオスを作り上げた。」 

イギリスによる植民地統治のルールは、いつか中国に返還される「期限付きの自由」だった。九龍城塞にはびこるアヘン、売春、黒社会。難民を支援して共産党政府の怒りをかうことを恐れ、香港政庁は社会保障をいっさい与えず、「自由市場」が巨大な格差と無法地帯をもたらした。 

しかし、李鵬、毛沢東、鄧小平、マーガレット・サッチャー、エリザベス女王以上に、そこから生まれた英雄として、香港人のアイデンティティーを世界に示したブルース・リーや、ジョルダーノで成功した実業家ジミー・ライを紹介する。香港にたどり着いたジミー・ライは、早朝から夜まで工場で働いたが、幸せだった。そこには自由があり、明日はもっと良くなるという希望があった、と回想する。 

天安門事件、香港返還交渉と一国二制度、雨傘運動、香港民主化運動の弾圧、国家安全法、北京政府を批判し続けたアップル・デイリーの廃刊、ジミー・ライは投獄されました。 

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廃墟から立ち上がるには、その社会モデルに、自由と民主主義の原理を受け入れ、市場経済と社会主義の理想が形を変えながら、技術革新の成果を広く分かち合う政治的コンセンサスを得るよう、社会保障と教育に真剣に取り組む新世代の指導者が必要です。 No Kings! 王はいない。

By onozn

大学で30年教えたあと、2025年春に定年退職しました。社会とのかかわりを模索中です。できることなら多くの街で仕事を経験したい。 「IPEの果樹園」を継続し、世界の政治経済に生じる変化を追いながら、本当に好ましい生活と社会の在り方を探そうと思います。

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