イギリスのスターマー首相を痛烈に批判する Simon Tisdallの論説を、そのまま石破首相にも届けたいです。Dear Keir Starmer, stop cosying up to Donald Trump – or he’ll drag Britain down with him, The Guardian, Sat 26 Jul 2025
「英国の安全保障と外交政策上の利益、経済的繁栄、そして民主主義的価値観に反する、極右、超国家主義的な政策を掲げる不快な人物に接近するか、それとも長年の同盟国でありながら高圧的な米国との決裂を覚悟し、主に欧州への再統合を通じて、世界における英国の立場を再定義する好機を捉えるか」
「トランプ氏は英国の友ではなく、重要な点において危険な敵だ。」
「欧州、そして最近では日本における極右、民族主義的ポピュリスト政党の台頭は、トランプ氏のMAGA運動が推進する、社会分断を煽り、排外主義的な政策が、国際的な支持を広げていることを示唆している。」
****
8月1日を期限としたトランプ関税をめぐる交渉から、世界政治について、研究者たちは何を発見したのか?
● 恐喝、略奪、弱者いじめが、今も、世界政治の基本である。
● 自由貿易の実現より、短期的には、二国間の貿易を強国に有利にゆがめる政治が勝つ。
● 非アメリカの報復関税同盟は、安全保障上の制約から成立しない。
● トランプ関税の中・長期的な影響は世界を貧しくするが、市場がトランプの政治権力を抑える保証はない。
関税の影響が現れるまでには時間がかかり、セクターごと、国ごとに異なる。しかし、経済学者たちは、関税が効率性を損ない、逆進的で、腐敗をもたらすと考えています。
トランプ関税は、アメリカに依存することを避け、その不確実さから投資を損ない、中国への依存を高めるでしょう。閉鎖的な大国にとって、短期的に、関税の影響は管理可能であり、その回復力や長期的成長を決定するものではない。
● 金融市場は、トランプ関税の長期・構造的な影響を評価することができない。
****
EUがトランプ関税に対抗できなかったことは、民主主義的政治体制の未来を暗くします。EUが中国と協力できなかった理由は、政治的価値観と安全保障に関する懸念でした。
一方で、EUは、アメリカに対してではなく、むしろ(トランプ関税で制約される)中国からの輸入増大、レアアースの独占やEVの市場支配を恐れています。
他方で、EUは、ウクライナ戦争における中国のロシア支援、サイバー攻撃、台湾への姿勢で、戦略的合意をあきらめました。
****
Ian Burumaは参政党の躍進を正確に解釈していると思います。 Populism Comes to Japan, PS Jul 30, 2025
「日本政府は、急速に高齢化が進む社会において、歳入を創出し、切実に必要とされる雇用を補うため、大規模な観光と移民を奨励してきた。しかし、その結果、日本人は大きな失望を味わい、参政党はインフレや生活費の高騰、賃金の停滞、米不足など、様々な弊害を外国人のせいにすることで、勢力を拡大することができた。」
「トランプ氏がホワイトハウスに就任したことで、もはや米国は安全保障の保証を期待できなくなった。」
「もし中国が米国の介入なしに台湾に侵攻し、日本周辺の海上交通路を掌握できたとしたら、日本は自ら核兵器を保有し、さらに右傾化する可能性が高い。これは、ほとんどの日本人が望むことではないだろう。」中国人もよく考えれば、同じことを願う、と結んでいます。
人類が愚かでなければ、貿易と投資のもたらす雇用やコミュニティーに与える破壊的影響を抑える、関税や産業政策に国際合意するでしょう。そのためには、トランプのように帝国を称賛し、他国を脅迫することで天才と自慢するのではなく、核拡散を防止し、核兵器を廃絶する地域同盟、そして、たとえば、核弾頭を運ぶ弾道ミサイルの誘導システムを破壊する時代の到来を予告していると思います。
Simon Tisdallの忠告を、石破首相はどのように聴くのでしょうか。
「スターマーはトランプを抱きしめるのではなく、感染を恐れて彼と距離を置くべきだ。
彼に会いに行くのはやめなさい。無駄なお世辞は言うな。その代わり、特別な関係の後の時代に向けて、計画を立て始めなさい。決別せよ。今がその時だ。」