大学に30年以上勤めて、私も妻も高齢者の最初のステージに入りました。年金と貯蓄、そして、できれば時給1000円のバイトと仲間を探して、質素な暮らしに楽しみを織り込むような、引退生活の形を考えます。
しかし、将来の医療費がいつも心を侵します。父や母を苦しめた癌、認知症、難病、高齢や孤独にともなう精神疾患、身体能力の低下、けがや疲労を思うからです。
どちらかが自立した暮らしをできなくなれば、当然、最初は自分たちで助け合うでしょう。しかし、どちらも歳を取り、介護を必要とする日がやがて来ます。私は母を介護しましたが、惑乱、徘徊を経て、今はグループホームに入ってもらいました。さまざまな補助を受けても、毎月の支払いは20万円を超えます。
父と母は十分な貯蓄を残してくれました。それが尽きた後は、私が支払うことになります。もしすべて自分が負担するとしたら、その苦しみは自分や家族を壊しかねないと思います。子供がいない、あるいは、貯蓄ができなかった人は、年金(と社会保障)だけで、本当にこの国に暮らせるのでしょうか?
退職までに、なんとなく、老後の貯蓄と資産は十分にできたと思っていました。しかし、インフレが心配です。わずか2%のインフレでも、貯蓄は35年(65歳から100歳)で価値が半減します。5%なら14年(79歳)、10%なら7年(72歳)です。
資産を株式や保険、国債、海外投資、信託で保有することも多いでしょう。しかし、その価値は大きく変動します(特に、為替レート)。長期に保有するとしても、自分が最も必要とする時期に、資産価値が暴落するかもしれません。
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家族と国家とともに、近隣のコミュニティーは最後の保険です。
ロバート・パットナムが、『われらの子ども』の中で、厳しい生活を経験した若い世代へのインタビューを多く紹介しています。人びとをつなぐ《社会資本》が失われると、子どもたちは苦しみ、経済成長や生産性上昇を妨げ、社会や政治も劣化します。
製造業の衰退、人口の流出、家族の崩壊、貧困地域の学校、薬物汚染、暴力、インターネットによる競争と職場の不安定化、ソーシャルメディアの影響、民主政治の衰退、ほか。豊かなはずの欧米諸国や日本は、多くの解決困難な問題を抱えています。
『われらの老後。そして希望の終末』という本を読みたいと思います。
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The Economist November 8th 2025の記事「豊かな国では、セックスや同棲をする人が減っている 」と「AIコンパニオンという新しい産業が出現している」は、独身者が増えていく社会、AIコンパニオンとの会話や関係を楽しみ、依存する時代について報告しています。