日本版DOGEを財務大臣が唱えたことに驚きました。驚倒した、と書くべきでしょう。高市政権下の財務省がDOGEを何と考えているのか、わかりませんが、よほど軽薄な助言者が財務大臣や首相の周辺を闊歩しているに違いありません。
その間違いを今すぐに正すべきです。例えば、Ruth Ben-Ghiatは書いています。( Trump’s Authoritarian Innovations, PS Dec 5, 2025 )
「トランプによる米国民主主義への攻撃は、世界一の富豪であるマスクとの同盟、そしてマスクの管轄下にある政府効率化局(DOGE)の設立によっても可能になった。
DOGEの責任者として、マスク氏は米国のデータシステムへのアクセスを獲得し、彼の工作員たちは政権交代に見られるような無法な手段を駆使した。彼らはクーデターを実行する兵士のように政府庁舎を占拠し、時には議員を締め出し、数千人の公務員を自身のコンピュータシステムへのアクセスを遮断した後に解雇し、デジタル資産の押収を阻止しようとした役人を物理的に排除した。
DOGEの真の目的は「効率性の向上」ではなく、「数百万人の米国市民と居住者に関する膨大な個人情報を集約した単一の中央データベース」の構築であり、政府の監視やAIの訓練に活用できるものでした。マスク氏にとって、DOGEの活動は、調査や罰金で自社を脅迫する機関を解体し、国内外の政府機関を自社製品へと誘導する機会でもありました。
このようなデータ窃盗と国家による浸透行為は前例がありません。世界の現職の独裁者と独裁者を目指す者たちは、学ぶべきことがたくさんある。・・・」
「トランプ氏の他の革新と同様に、米国の威信と権力を解体しようとする試みは、人道的犠牲を顧みず、できるだけ早く成果を上げることを目的としているように見える。過去20年間で推定9200万人の命を救った米国国際開発庁(USAID)をマスク氏が破壊したことは、そうした犠牲がどれほど大きいかを如実に示している。」
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首相となる人物の政治信条や発言をみて、中国政府が警戒したのは当然です。尖閣諸島をめぐる領土問題や台湾有事、靖国参拝をめぐる歴史認識など、日中関係はこれまでも困難な局面を経て、一定の合意を模索してきました。
高市首相の強硬姿勢と、日中関係が急速に敵対モードに入ったことを、首相の支持者たちは喜んでいるのでしょうか?
物価高対策。お米券。円安。長期金利上昇。外国人規制。・・・首相の発言や指示は的外れ、全体像を欠く、無責任なものではないか?
トランプ外交へのゴマすり(ノーベル平和賞に推薦!)。「強い国家」をめざす軍備強化と戦略的産業政策(国債増発)。そして、「存立危機事態」をめぐる国会答弁と日中関係悪化に対する沈黙。
内政、外交において、高市早苗という右派政治家の政権運営は、硬直的なイデオロギーと支持基盤に頼る、短期的なパフォーマンス、支持率を高めるだけのポピュリスト政権、と評価すべきです。
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The Economistは、ドナルド・トランプの独裁的権力体制を「何でもありのアメリカ」と呼んでいます。
トランプ政権は、今も異常な主張とアメリカの体制破壊を続けています。国際秩序蔑視はその延長です。ベネズエラの政権を打倒するため軍事的に威嚇し、麻薬の密輸を阻止すると称して、証拠を示さず、戦争状態でもない船舶を、公海上で攻撃し、皆殺しを命令している。
トランプ大統領の気まぐれと、法律を無視した権限の行使を前提に、市場独占に向けた買収を捜査されたくない企業や恩赦を望む犯罪者、関税や規制を免除してもらいたい外国政府などが、献金と贈り物で大統領の好意を得るために並びます。
習近平との有利な取引を望み、民主主義ではなく強権指導者に敬意を表するドナルド・トランプに、台湾や日本が、アメリカによる安全保障を信用できないのは当然です。
高市政権は真価を問われている。